Ⅱ
(F-35A/26-5607)
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4th FS "Fightin' Fuujins"
前回、嘉手納にヒル空軍基地からF-35Aが派遣されたのは、2017年であった。丁度 ヒルにF-35Aが配備されて2年目に当たる年で、第388戦闘航空団(388th FW)の最初の飛行隊である第34戦闘機中隊(34th FS)が定数を満たした時期である。その後 残りの飛行隊(4th FS/421st FS)にも順次F-35Aの配備が進み、2019年に航空団のF-35A配備は完了したと言われる。従って 2017年当時嘉手納に飛来した飛行隊は、ページ1を見て頂くと判るとおり、34th FSのF-35Aとヒル空軍基地に同居する予備役の第419航空団第466戦闘機中隊の機体だけだった。 
 時計の針が進み、6年後の2023年11月20日に再びヒル空軍基地からF-35Aが飛来した。18th WGのF-15C/Dの撤収に伴う、嘉手納基地への戦闘機部隊派遣計画の一環で、既にアラスカのイールソンからF-35Aの派遣が行われていたが、並行してユタ州からも応援が来たことになる。但し 前回の派遣と異なる処は、第388戦闘航空団傘下の3個飛行隊から、万遍なく機体が編成されている事である。マーキングも各飛行隊毎に異なり、左側面だけでなく、右側面でも尾翼を見れば飛行隊が判別できるので、多少の面白みが出てきていた。
421st FS "Black Widows"
34th FS "Rams"
飛行隊のインシグニアである”風神”とは、日本に駐留していた時代に日本の文化財の一つである俵屋公達作の風神雷神図等を参考に採用されたものであると考える。同飛行隊がF-16Cを使い始めた頃には、風神の部隊徽は維持しつつも、同飛行隊の第二次大戦中の古いインシグニアのモチーフを復活させ、スカル雲と電光のマークを尾翼に入れるようになった。それはF-35Aに更新された現在も踏襲され 尾翼の先端にこのデザインを入れている。。
(F-35A/20-5625)
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↑ 米空軍は最近嘉手納に派遣している各飛行隊の機数を公式発表しないので、今回は正確な派遣機数は不明であるが、ここに掲げた機体の他にF-35A/20-5619も確認されているので、少なくとも9機以上は来ているはずであるが、実態は不明である。
(F-35A/20-5567)
↑ 2024年3月13日 朝11;00過ぎに離陸した6機のF-35は、昼過ぎても戻ってこなかった。どうもKC-135Rを伴った飛行訓練を行っていたようで、日が沈みかけた18:00頃に嘉手納基地に戻ってきた。機体の左側面を撮りたい私にとっては有難い結果となったが、一昔前のフィルムカメラとリバーサルフィルムであったら、光量が足らず写真がうまく撮れなかったかもしれない。カメラ機材の進化が助けてくれている部分が大きい。嘉手納のベテランマニア諸氏からも「ゴキブリみたいな飛行機で;好きじゃない・・・」と言われてきたF-35Aもこの角度からであると、意外と魅力的と思うのは私だけだろうか。
↑ 2024年3月14日 嘉手納基地R/W-05Rで離陸する4th FSのF-35A/20-5623
(F-35A/20-5623)
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Wings
↑ 今回撮影できた唯一の34th FS"Rams"のF-35A。前回と違って今回は他の飛行隊と区別できるよう、尾翼の先端に各飛行隊のインシグニアに因んだマークを入れており、"Rams"も雄羊の頭を書き入れている。カラーチップライン等を使わない最近のステルス機の場合、飛行隊のインシグニアを入れた胴体左側面が撮りたい。右側面は航空団インシグニアで統一されており、尾翼以外どの機体も同じに見えてしまうからである。
(F-35A/20-5625)
↑ 2024年3月12日嘉手納基地R/W-05Rに飛行訓練を終えて、次々に着陸するF-35A。先頭で降りてきたのは、この日唯一ヒルのF-35Aに交じって訓練していたアラスカ・イールソンのF-35A/AK-5369であった。
(F-35A/19-5540)
(F-35A/22-5694)
↑ 所属が判らないノーマークのF-35A。この機体、嘉手納基地派遣の期間にシンガポールで開催された航空ショーにも展示機として参加しており、3月15日には他の388th FWのF-35Aと三沢基地へも展開していることから、恐らく388th FWの所属であろうが、飛行隊までは判らない。今回飛来したF-35Aの中でシリアルナンバーが最も新しい機体の一つ。
同隊のインシグニア"Black Widow"は、日本名”セアカゴケグモ”と呼ばれるオーストラリア原産地の毒蜘蛛で、胴体の背中から尻に掛けて砂時計のような赤い模様が入っている。英国の学術名称では”Red Backs"とも呼ばれ、一般的にはこの名称の方が通じる。1990年代にこの蜘蛛が船から日本にも上陸してニュースにもなったが、メスは毒を持っていて、猛毒ではないが噛まれると人によっては過敏症で死亡した例もあるそうだ。韓国の装甲兵員輸送車計画など幾つかの兵器名や部隊名にレッドバックスが使われている。菱形を合わせた砂時計のような紋章と蜘蛛の糸は、恐らくスパイダーマンの衣装のモデルにもなったもので、同飛行隊はF-16Cの時代から尾翼のチップに書き込むようになった(上図右)。
(F-35A/17-5248)
(F-35A/19-5477)